OLの日は11月25日。
働く女性の異業種間交流サークルの
「OLネットワークシステム」が
1994年(平成6年)に制定。
1963年(昭和38年)
女性週刊誌の「女性自身」11月25日号に
初めて「OL(オーエル:Office Lady)」という言葉が
掲載されたことに由来します。
OL
OL(オーエル:office lady の略)は
「女性会社員」
「会社勤めの女性」
「通勤する女性」など職種・年齢を問わず
全般を意味する和製英語の造語です。
女性労働といえば
太古より
家事、育児を担いながら
農作業や家業などに参加することで労働を提供し
なんらかのかたちで働いていたのが当たり前で
女性が働いていなかった時代なんてありません。
明治期
大多数の女性は農業に従事し
幼いうちから「子守・女中奉公」などに出る女性が多く
日本が近代国家をめざし
近代産業の発展を主に支えたのは、
製糸・紡績を中心とする繊維産業です。
女工として働いた10代~20代の女性たちは
主に貧しい農家から集められた
多くの若い女性が生産の主力を担いました。
そして、
教育や医療の分野でも近代化が図られ
少数ながら教師や看護婦、医師などの職に就き、
女性専門職のパイオニアとして活躍します。
職業婦人
大正期
第一次世界大戦や関東大震災などを経て
組織的に働く「企業」が根づき始め
「企業対個人」といった
近代的な雇用関係に移り変わっていきます。
近代化、工業化、都市化が急速に進み
経済の発展や進学率の高まりに伴って
新しい仕事が生まれ、女性の就労機会が広がりました。
代表的な職種としては
教員、医師、看護婦、美容師、事務員、店員、
タイピスト、電話交換手など職業選択の幅が増え
働く女性は「職業婦人」と呼ばれ
大正時代から昭和初期にかけてこの言葉が用いられました。
丸ビル小町
1923年(大正12年):「丸ビル小町」
丸ビル完成の年
働く女性いわゆる職業婦人のことが
最初に雑誌記事となって
「丸ビルで働く新しい女性たち」が特集され
丸ビルのオフィスで働く女性たちは
「丸ビル小町」と称して紹介されました。
モダンガール
1924年(大正13年):「モダンガール」
(初出は1923年)
関東大震災翌年
丸ビルに代表される
オフィスビルに勤務する近代的職業婦人を
「モダンガール(近代女性)」へと呼称を変えて
雑誌の見出しに登場します。
洋装・断髪がモダンガールの特徴で
大正末から昭和初期にかけて存在し
西洋文化の影響を受け流行の先端をいった
近代的で新しいタイプの女性のことです。
世間ではごく一部に過ぎない少数派で
その自由で活発な行動は脚光を浴びるものの
軽薄な風潮だという
世間の顰蹙(ひんしゅく)もまた広まり
1930年代後半(昭和10年代後半)
世界恐慌の影響などで
華美な姿は抑制され潜めてしまいました。
しかし
時代の先端をいくファッションや行動力は
後の時代へ引き継がれて行くのです。
働く時代へ
1938年(昭和13年)
国家総動員法の成立を経て、
国民の生活は
第二次世界大戦の戦時体制へ突入していきます。
徴兵されて行く男性に代わって
未婚女性や女子学生まで
農業や工業をはじめ様々な仕事を女性が担っていきます。
1945年(昭和20年)
婦人参政権を獲得し女性の権利拡大が図られ
女性の社会進出と地位向上への基本的な条件が整えられ
戦後復興を目指し、
日本人は猛烈に働く時代へ進んでいきます。
サラリーガール
1950年代:「サラリーガール」
職業婦人に対して
「サラリーガール」という言葉が使われ始めます。
サラリーガールは 「職場の花」と言われ
仕事をしていく上で
キャリアアップすることなど考えもしなかったわけで
結婚して寿退社して
専業主婦になるのがごく当たり前の時代でした。
ビジネスガール
1957年(昭和32年):「ビジネスガール(BG)」
サラリーガールの中でも
日本橋兜町の株式市場で働く女性に対して
「兜町のBGたち」と称して
ビジネスの最前線で働く大卒女性を
ビジネスガール(BG)という呼称で使い始めます。
1959年(昭和34年)
サラリーガールという言葉が次第に廃れてゆき
働く女性を総称して
BG(ビジネスガール)と呼ぶのが一般的となります。
BGの問題点
1963年(昭和38年)
東京オリンピックを翌年にひかえ
大人数の外国人来日が見込まれる中で
問題視されたのが和製英語やローマ字表記で
その一つに
BGことビジネスガールが挙がりました。
「BG」は
直訳すれば商売女となり
「商売」が何を意味するかは英語圏でも同じだったようで
「Bar Girl(商売女・娼婦)」という意味から
「売春婦を想起させる」という噂を受けて
無用な誤解を外国人に与えることを未然に防ぐため
9月12日にNHKは
この実態のない噂から「BG」の使用を止めました。
すぐに世間からBGという言葉が消滅したわけではなく
1967年(昭和42年)まで
雑誌の見出し等では使われていたようです。
OLは一般公募によって生まれた
同1963年(昭和38年)
東京オリンピックに来日する外国人の誤解回避を目的に
週刊誌「女性自身」が
BG代替語となる
「新しい時代の働く女性」を表す新しい名称を
誌上で公募を行った結果、
11月に
最多の「OL(オーエル:オフィスレディー)」を
選出したと発表しました。
OL秘話
しかし
実際の1位は
「OG(オフィスガール)」で
「OL(オフィスレディー)」は7位であり
当時の編集長が
『「職場の女の子」という意味の様で
「ガール」が個人的に気に入らない』という私情から
捏造したという事実が後に明かされました。
OLは
世間一般へ浸透するまでには
長い時間を要することとなり
1973年(昭和48年)頃から
オフィスで働く女性全般に対して「OL」が定着します。
OLは自粛用語?
「OL」のOffice Ladyは和製英語で
国語辞典にも登録されて一般語になっています。
海外では
男女の区別を付けること無くオフィスで働く人全般を
「office worker(オフィスワーカー)」などと言います。
2000年代以降
OLという言葉自体が
性差別につながるとの意見が出てきます。
男性も女性も意欲に応じて、
あらゆる分野で活躍できる社会という
男女共同参画の観点から
社会的な位置づけや職業差別的な意味合いで
働いている人を指す言葉に
性別の意味を含んだ言葉を使うのは、
古い言語感覚であって
雇用上の男女平等が叫ばれると供に使用が減っています。
あくまでも自主規制であり、
OLという言葉を使ったとしても法律上は問題ありません。
しかし、
こうした言葉を使用することで
不快に思う人がいるなら
やはり使用は避けるべきなのでしょう・・・
最後に
職業婦人と呼ばれた彼女たちの登場は
革命的な出来事だったのです。
それだけに
周囲から先進的な女性と見られていましたが
女性が働くことに対して
世間的な風当たりや偏見は根強くありました。
典型的な批判が
「男たちの仕事が奪われる」というものです。
それは
保守的な価値観から抜け出しきれない男性の
「不安」でした。
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