ハラスメントとは
いろいろな場面での
嫌がらせやいじめ、人を不快にし困らせることで
個人の尊厳又は、人格を侵害する行為です。
上司から部下へ、部下から上司へ、
同僚間、同性間など
いつ
加害者、被害者になるかわかリません。
物事に対する意識というのは
人それぞれ違いがあり
男女によって受け止め方も違ってきます。
特に
性的なことに対するハラスメント意識は
男女や年齢による意識差の違いを自覚し
細心の注意を払う必要があります。
ハラスメントが起きると、
被害者はもちろんのこと、
職場全体の生産性が低下し、
内外的なイメージの低下により
会社にも大きな損失を与える事になります。
ハラスメントの判断
会社は利益を追及しがちですが
利益は正しいプロセスの結果で生じるものであり
社員が幸せに暮らせるという理念のもとに
経営が正しければ、きちんと利益が出てきます。
伴い
会社や上司には、社員や部下を
育成するという重要な任務が課せられていますから
社員の業務遂行を正しく指示、指導、監督する義務があり
時には、
苦言を述べたり叱責したりするのは
あくまでも業務遂行上の指揮命令です。
しかし
通常の業務内で必要とされる指示や注意でも
受け取り方は個人によって違うため
「精神的な苦痛を感じた」として
ハラスメントだと受け取ってしまう可能性があります。
受けた側がハラスメントと感じた時点で
ハラスメントが成立するわけではなく
ハラスメントの可能性があるのではないかという
相談、申し立て、訴える権利を持ったに過ぎません。
ハラスメントかの判断は
業務上において
一般的に必要な範囲を逸脱しているか!?の判断で
範囲を超えた指示や言動、強要などが
ハラスメントとなるポイントですが
業務の適正な範囲内で行われている場合には
ハラスメントには該当しないので
判断の線引きが難しい問題です。
また
「ご家族はお元気ですか?」など
相手を心配しての事でも
プライベートな部分を話題にすることは、
職務と直接関係がないため、
ハラスメントに該当する可能性が高いので
日頃から
お互いの人格を尊重し合い、信頼のおける
適切なコミュニケーションが求められます。
ハラスメント解決のために
今現在
ハラスメントで悩んでいるのは
自分以外の誰かによって、
自分の望まない嫌なことや
こんなに苦しい思いを毎日されている事です。
理不尽に思いませんか?
大きな社会問題、人権問題ですから
問題を公然化させ、早めに対処し
一人悩まず勇気を出して解決したいものです。
いくつか一般的な解決策を順不同で記載しますが
職場により
個人の事情や環境がそれぞれ違いますし、
必ずしも、
解決出来るという意味の内容ではなく
あくまでも
策に向けた知識だけのものですから、
そこを考慮頂き、参考になさって下さい。
そして
事を運べば流れがありますから
教科書通りには進まないのが現実です。
職場の事情は
あなたが一番わかっている事なので
随時、
自分に合った対処を慎重に検討して下さい。
解決出来る事を願っています。
1.多くの賛同者
明日は我が身というハラスメント問題ですから
親友、仲間や同じような境遇の人など
多くの賛同者を募ることで
会社の雰囲気を
「ハラスメントは許さない」という
認識に変える為にも、止めさせる為にも
周囲の味方を増やし結束できると良いでしょう。
仲間といっても
社員の場合は、我が身は大切ですから
本当に信頼できる人に限ります。
2.証拠を残す
今、職場で受けている行為が、
「ハラスメント」に当たるのか
調べる必要があるのですが
すでに
不快に思い不快な行為が続いていると思いますので
事実となるハラスメントの証拠を残すことです。
「いつ、何時に、どこで、誰が、何をしたか!」を
内容を詳細かつ具体的に記録し、
その場に誰かいたら出来事の確認をしておきます。
備忘メモやメール、
身体的に問題があったら診断書などや
ボイスレコーダーを使用するなど
有力な証拠となりますので後々に役立ちます。
3.行為者に伝える
手っ取り早いのは
行為者から逃げたり避けたりする事です。
職場で顔を合わせずにすみますか?
毎日逃げ切れるものではありませんね。
出来れば
平穏に解決したいと思うわけですが
あなたは被害者なのですから
不快に思っている事を率直に伝えるべきだと思います。
「直接伝える事が適切なのかどうか?」という
問題がありますが
行為者(加害者)の性格は
ある程度おわかりだと思いますので
感情的にならず
迷惑である事、やめて欲しい事を
「〇〇が迷惑で、もうやめて下さい。」と
その一言で
やめてもらえば良い事ですから
具体的な説明は略して、簡単明瞭に事実関係のみを
毅然とした態度で
相手を想定して慎重な言葉で伝えるようにしましょう。
話が長引くと
「やった、やらない」などの水掛け論になったり
「あの行為はハラスメントです。」と言っても
「覚えがない。」と返されるだけで
お互い感情的になりやすく、収拾が付かなくなります。
行為者が
害を与えることを目的に行っているような
重度のハラスメントの場合は
逆に嫌がらせが生じる可能性がありますので
慎重に検討して進めるようにしましょう。
「訴訟もいとわない」旨は
後からいつでも言えますから・・・
4.文章で伝える
メールや文章などで伝える事も
必要になるかもしれませんが
やめてもらえば良い事ですから
「私は〇〇思っていますがもうやめて欲しいです。」と
感情を交えないで
自分だけの気持ちを伝えた方が良いと思います。
すべては
あなたに2次被害が起きないよう
これらも
慎重に検討して進めるようにしましょう。
内容は
証拠として残しておきましょう。
5.内容証明郵便
内容証明郵便は
内容自体に法的効力があるわけではありません。
意思表示の内容が
証拠となるという意味があります。
内容証明郵便に
不快を感じている旨を記述して
行為者に送るのも一つの方法です。
後の段階で
改善しない場合は
会社宛に
同じ内容の内容証明郵便の発送を検討しましょう。
尚
弁護士名義での内容証明書郵便の方が
有効と思われますが、
費用が結構かかりますので、弁護士に相談した方が良いでしょう。
6.上の人に相談
「相談する」という
他人の力を借りる事は
自分の置かれている立場を明かす事にもなります。
解決に繋がる事がよくありますが
対応を誤ると
プライバシーが守られなかったり
望まない思わぬ方向へ事態が進んだり、
トラブルが拡大するなどのリスクが増えてきます。
当然、相談者になってもらう人は
行為者より立場が上であることは言うまでもなく
人選は
慎重に考えなければなりません。
やはり
会社に雇われている身ですから
誰と繋がっているかわかりませんし
我が身を削ってまで助けてくれるとは思えません。
名ばかりの責任のない人では
相談したことが
行為者の耳に入り
事態が悪化する可能性もありますから
2次被害を避ける為にも
その人が信頼できる人間かどうかの見極めが重要です。
どこまで親身になってもらえるのか?
行為者に指導してくれる上司であるのか?
という問題があり
上の立場の人となる
裁量や力量、強制力次第となります。
相談にあたっては
あくまでも
事実関係のみを具体的に客観的に伝える事で
感情的に行為者をけなすような話し方はせずに
相談ではなく「解決してほしい」と
更に
「2次被害もないようにして欲しい」と
解決策を講じて実行してもらえるよう訴えましょう。
社内通告以前の話ですから
内輪で解決する最終の手段であり
行為者も
上の立場の人から指導を受けることにより
穏便に済むことになります。
このように
信頼できる上司が社内にいない場合や
相談窓口のない会社では
社長に相談するという案もありますが
社長に相談することが適切であるか判断し
不可能であれば
社外の機関に相談しましょう。
7.会社に相談
相談窓口のない会社では
総務や社長、
時には、事務社員が対応せざるを得なくなり、
知識のない社員が対応することになりますので
社外の機関に相談しましょう。
人事部の相談窓口があれば
具体的な証拠を用意した上で
相談するようにしましょう。
ここで問題なのは
会社は問題事が公になることを嫌いますから
相談窓口として機能しているのか?
つまり
形だけの窓口なのか?
専門の窓口なのか?ということですが
相談員が
同じ部署内の人間だった場合は好ましくありません。
他の部署と癒着のない、専門の部署を設けていることや
同性の相談員が含まれていることが望ましいです。
そして
相談者(あなた)のケアを最優先しているか?
相談者の立場に立った対応がなされるか?
相談により不利益な取扱いをされないか?
相談者が
どのような解決の仕方を望んでいるのかの
意向を確認して解決してくれるのか?
など
念頭に置き
今までの証拠を持って相談しましょう。
となるわけですが、相談窓口が
厚生労働省の指針に沿っていれば良いのですが・・・
相談窓口の
内部事情が確認出来ると良いですね。
ハラスメントを止めさせて、
尚且つ
会社を続けるには
問題解決を会社内でとどめることです。
重要な部分ですから
後に、対会社と発展することのないよう
一度
弁護士や社外機関に相談するなどの段階を踏んで
検討することも必要かもしれません。
会社、事業主は
厚生労働大臣の指針により
労働者からの相談に対し、
必要な体制の整備や措置を適正に講ずる義務があります。
適切に対応してくれない
報告しても相談にも応じない
実態を知りながら対処しなかったなど
会社のハラスメント対策が不十分なものであれば
労働契約上の義務を
履行していないということで
対策義務や、配慮義務に違反していることになり
会社に対して損害賠償を請求することが可能であり
会社は処罰の対象にもなります。
8.あっせん(斡旋)
もうすでに
会社内で話し合いをしても
事態が改善されないわけですから
外部機関を利用したり
法的手段によって解決するという事になります。
法的処置まで出るということは
行為者や
もしくは会社とも対立することになりますから
会社で
円満に働くという事は難しくなる可能性があります。
各都道府県労働局に設置されている
「紛争調整委員会」に「あっせん」を求めることがきます。
また
弁護士会など
法務大臣が認証した団体による「あっせん」もあります。
会社と労働者との間に
「当事者同士では解決できない問題」である
労使トラブルが発生した場合、
労働法の専門家(あっせん委員)が間に入って
トラブルを解決してくれるという制度です。
あっせん委員が
双方の意見を聞き、あっせん案を作成し
両者があっせん案に合意すれば
民法上の
和解が成立したものと同じ効力を持ちます。
裁判とは異なり
手続きが迅速かつ簡便であり
非公開でプライバシーも保護され
無料(代理人への依頼費用は別途必要)で
解決できる制度となっています。
また
労働者があっせんの申請をしたことを理由として
事業主が労働者に対して
解雇その他不利益な取り扱いをすることは
法律で禁止されています。
合意がなされない場合は
他の紛争解決機関の説明・紹介があります。
9.労働審判制度
裁判所において
原則として3回以内の期日で
迅速・適正かつ実効的に解決することを目的として設けられ
「事例に応じて最も適切と思われる結論を柔軟に示す」という
特徴的な制度です。
裁判官である労働審判官1名と
労働関係に関する
専門的な知識経験を有する労働審判員2名で審理し
労働審判をします。
審理に要する期間は平均で約2ヶ月半
全体の約8割がこの労働審判で解決しているとされ
訴訟に比べて
時間・費用の負担や手続きの煩雑さが軽減されますが
3回以内の短い期間で審理が終了になるため
弁護士を代理人に選任することが望ましいでしょう。
答弁書や証拠などの書類を用意すれば
個人だけでも労働審判に臨めますが
会社側は必ず弁護士をつけてきますので
弁護士への依頼は必須だと思います。
双方の言い分があまりに食い違っている場合は
3回以内の期日では合意に至ることが困難であり
そもそも
「ハラスメント事案」は
複雑な争点を持つため
労働審判による解決は、不向きと言える面もありますが
必ずしもそうではありませんので
弁護士と相談して検討してみましょう。
審判に異議申し立てがあれば
審判は失効して、
通常の民事訴訟へと移行することになります。
10.最終
勤め先である「会社の人」や「会社」に対して
裁判を起こすのは、
対会社との戦いになってきますので
現実問題として難しいところでもあります。
裁判となると
期間と労力、費用も要することになり
実際に裁判を起こすべきかは、
慎重に判断する必要があります。
証拠もあり
対策が不十分なものであったり
加害者の監視・監督に不備があれば
損害賠償を請求することが可能ですし
極めて強度な行為があれば
刑事告訴をすることもできます。
いずれにせよ
行為者や会社対して然るべき対応を求めたり、
責任を取らせるためには、
労働問題に強い弁護士に相談するのが得策です。
相談窓口
など
まとめ
どのように感じ、どのように思い、考えるかは
個人によって異なります。
加害者となる、気付かぬ言動が、
ハラスメントだと感じる被害者との間には
意識の「差」があることも大きな問題であり
日々
他者への思いやりや気配り、
配慮をもった言動こそが、
ハラスメントの防止において、最も重要な事だと思います。
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